M.O.G.E.R.A.
幼少のみぎりより、無理矢理すぎる頭字語に弱いんです。
東宝の特撮映画『ゴジラVSスペースゴジラ』(1994)に登場する、
「モゲラ」なる名前のロボット怪獣がおります。
もともと『地球防衛軍』(1957)に同名の怪獣ロボが登場しており、
セルフオマージュとしてのリファインだったわけですが、
94年版新モゲラのネーミングには一癖ある設定が付与されておりました。
Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero-type *1
これを略してMOGERA、との意味が後付けされていたのです。
いやそれハイフン使っちゃうあたりちょっとキビしいだろ感ある力技でして、
その無理矢理っぷりに当時の私は心惹かれてしまったわけです。
頭字だけに! 冬至ぐらい寒い。
しかも劇中では勇壮な服部隆之マーチ(伊福部マーチでない)が流れる中、
長ったらしい英名をデカデカとテロップ表示させつつ、
逆光スモークで空気遠近法を効かせたメカメカしい格納庫を
くだんのMOGERAがスライド移動してくるという、
きわめてインパクト大でシビれればいいのかウケればいいのか
最早よくわからん初登場を見せてくれるわけです。
もうトキメキしかないわけですよ。
物語の内容自体は平成VSシリーズの中ではイマイチ面白くなかったこともあり、
兎にも角にもMOGERAの力技が印象深い映画でありました
(※あくまで主観です。なお主観での最優秀に『VSビオランテ』が位置します)。
アニメ『機動戦士ガンダムSEED』(2002)に登場する
主にEnfORcerあたりの無理矢理ぶりがなかなか魅力的なバクロニムでありまし種。
やっ種うれシード。
あ、いまちょっとSEED *4 因子が死に設定だった話はしてないです。
頭字語ついでに書いておくならば、フィクションに登場する語のみならず、
まさちゅーちぇっちゅ工科大学あたりが火元らしい「再帰的頭字語」なども、
無理矢理に近い遊び心が感じられて好みだったりいたします。
さて、そうした力技すぎる略語の系譜で私がもっとも最近摂取したモノが
TVドラマ『THE FLASH / フラッシュ』(2014~)の劇中に出てきた
F.I.R.E.S.T.O.R.M. *5 (ファイヤーストーム)であるわけです。
はい、ここからが本題でして、つまり何が言いたかったかというと、
アメコミ出版社2強の片割れであるDCコミックがここ数年展開している
実写ドラマシリーズはたいへん面白くてオススメっすよ、という話でございます。
お断りしておかなければならないのが、
私はアメコミ分野に関しては殆ど知識のないズブの素人だという点です。
実写映画化作品で引用されたネタ元について幾許かぐぐってみたことがある程度で、
不勉強にして一次資料としてのDCコミックやマーベル・コミックに
きちんと目を通した経験はほぼ皆無です。
以下の文章が偏った/誤った/不足した見識によってのみ
書かれていることは予めご承知おきください。
映画会社間の権利移動とかにも言及できてないですし。
閑話休題。
古典的アメコミヒーローを今日的現実の中に落としこみ、
大人の鑑賞にも堪える物語を描く、という実写映像作品のあり方は、
数々の全身タイツでの試行錯誤に端を発し、
ティム・バートン版『バットマン』(1989)といった転機を経つつ、
『ダークナイト』(2008)で一つの完成形をみたと思われます。
あ、いまちょっとミスターコマンドーの逆襲の乳首スーツの話はしてないです。
で、バットマンで知られるDCコミックのライバル出版社である
マーベル・コミックも当然この路線に参入しており、
『X-MEN』シリーズ(2000~)や『スパイダーマン』シリーズ(2002~)等で
たまに酷評されたりリブートしたりと試行錯誤しつつも、
世界観の共有というアメコミ定番の要素を加えることで
『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク』(ともに2008)を端緒とした
「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」と呼称される一連の作品群、
いわゆる『アベンジャーズ』シリーズを送り出し始め、
最終的には記録的成功を収めてきているのが昨今の状況です。
そして今度はMCUの様子を見たDCコミックが
「じゃあ俺らも世界観共有やろうぜ! カレーメシリーグ! ジャスティス!」となり、
制作されているのがDCEU映画『マン・オブ・スティール』(2013)や、
TVドラマ『ARROW / アロー』(2012~)、『THE FLASH / フラッシュ』なわけです。
特にアクションを交えたTVドラマは『ヤング・スーパーマン』(2001~2011)等で
DCにとっても既にロングラン実績のある分野であり、
連続ドラマとしてウケるための手法を熟知した上での制作であると思われますね。
ところで私はここまでの制作背景の解説だけで
もうキーボードを叩く気力の尽くが尽きつつあるわけですね。
『ARROW / アロー』『THE FLASH / フラッシュ』の両ドラマには
それぞれ「グリーンアロー」「フラッシュ」という
元ネタヒーローがDCコミックに存在するわけですが、
先述の通りアメコミ知識ゼロに等しい私ですから、
恥ずかしながら名前くらいしか聞いたことがありませんでした。
そんなトーシロでも充分に没頭できるような作りに両作品はなっておりまして、
かたや犯罪解決における暴力性の是非を扱う重厚で緊迫した葛藤を、
かたや超能力を作品世界に取り入れた明朗で痛快な勧善懲悪の活劇を、
それぞれ特段の予備知識を必要とせずに楽しむことができます。
コメンタリーで制作者らが語っていた言葉を借りると、
アローはバットマン的な陰のダークヒーローが志向され、
フラッシュはスーパーマン的な陽のヒーローが志向されています。
ブレイク・ニーリーの劇伴もキャッチーでエモーショナルなスルメ具合でして、
たびたび用いられる各ヒーローのメインテーマなどは
印象的なタイトルロール映像と相まって、
つい口ずさみたくなってしまう中毒性すらあります。
悪役が魅力的な作品に外れなしと言いますが、
各シーズンの敵キャラがまたいい具合に立ってまして、
おそらくこのあたりは同じヴィランを何度も再登場させることで深みを増す
アメコミで培われた手法が活きてるのだろうなと感じさせてくれます。
それから先ほど触れたようにシェアードワールドならではの
クロスオーバー演出が多々ありまして、『ARROW / アロー』シーズン2の中には
『THE FLASH / フラッシュ』の予告としての性質をもつエピソードが存在したり、
『ARROW / アロー』シーズン3と『THE FLASH / フラッシュ』シーズン1とを
相互に行き来するキャラクターや事件が描かれたりするわけです。
なんというかこのクロスオーバー具合がですね、
受け手のツボを “理解っている” 分かり手が
制作に携わっているなと感じられる絶妙な匙加減でして、
相手番組での活躍のさせ方から登場時のライトモティーフBGMの使い方に至るまで、
佳いんですよ。佳いんです。アカいいよね いい…
両作品で共有している世界観は「Arrowverse(アローバース)」と呼ばれるらしく、
『Vixen』(2015)なるアニメ作品もここに属するとのことです。あいにく未見。
来年には4つ目のアローバース作品
『DC's Legends of Tomorrow』も予定されておりまして、
これまた公開済の予告映像からして燃えるクロスオーバーの
(ちなみに『Legends of Tomorrow』の予告には
『ARROW / アロー』シーズン3と『THE FLASH / フラッシュ』シーズン1に関する
そこそこ深刻なネタバレが含まれていますので、先に見ないほうがいいです)。
ネガティブな感想も公平にぶっちゃけておきますと、
『ARROW / アロー』については序盤の展開に
いくらかタルさや引っかかりを感じるかもしれません。
なぜなら、個人的な復讐に拘り殺人も辞さなかった主人公オリバー・クイーンが
次第に正義の味方としての心構えを会得していくまでの過程、
ヒーローもののカタルシスを得られる王道展開に至るまでの長い長い前フリに
シーズン1の放送1年分をまるごと使っているためで、
正直わりとスロースターターな物語だと思います。
というか、いきなりシーズン2から入っても問題なくね? という気さえします。
ただし漫画『ヴィンランド・サガ』でテーマの本質が語られ始める農場編に至るまでの
血なまぐさいヴァイキングの日常編が長すぎて若干ダレる、みたいなもので、
後から振り返れば前フリには前フリとして語られるべき必然性が見えてきます。
もし序盤でちょっと受け付けなくても、しばらく切らずに我慢してみてください。
ゼーガは主人公の妹が出てくるまで見ろ。
あとこのエントリの前置きが長かったことに必然性はまったくないです。
一方『THE FLASH / フラッシュ』はしょっぱなからガッチリ掴んでくる上に、
『ARROW / アロー』なら5話くらいかけそうな縦軸の伏線の回収を
1エピソード中に完了させたりするスピード解決ぶりで、
なるほど地上最速の男は伊達じゃないという感じなのですが、
先に述べたようにクロスオーバーを把握してこそ
企図されたエンターテイメントを味わい尽くせる作りになっているため、
『ARROW / アロー』抜きで『THE FLASH / フラッシュ』だけ視聴する、
というのは個人的にはあまりおすすめいたしません。
特に『ARROW / アロー』シーズン3と『THE FLASH / フラッシュ』シーズン1は、
なるべく本国放送順で交互に消化していくと✌( 'ω' )✌最高~という感じになれます。
『ARROW / アロー』シーズン1のダイジェスト映像と、
『THE FLASH / フラッシュ』シーズン1の第1話とが、
それぞれ日本向けワーナー公式サイトで無料配信されておりますので、
未見かつ興味を持たれた向きには、まずそちらを見ていただくことをオススメします。
『アベンジャーズ』シリーズが好きなら間違いなくドハマリすることでしょう。
それでは最後にフラッシュくんから一言お願いします。
そうなんだ、じゃあ私 S.H.I.E.L.D. *6 の T.A.H.I.T.I. *7 行って『アントマン』見るね。
*2:Generation Unsubdued Nuclear Drive Assault Module Complex:抑制されていない核駆動を使っている強襲モジュール複合体
*3:Mobilesuit Embedded Tactical EnfORcer:モビルスーツ埋め込み式戦術強襲機
*4:Superior Evolutionary Element Destined-factor:優れた種への進化の要素であることを運命付けられた因子
*5:Fusion, Ignition, Research Experiment and Science of Transmutation Originating RNA and Molecular Structures:核融合点火の研究実験およびリボ核酸と分子構造に起因する変形の科学
*6:Strategic Homeland Intervention, Enforcement and Logistics Division:戦略国土調停補強配備局
武家諸法度
ハローどうも僕はここ、一介の女児です。
ここ数年、主にTwitterをアウトプットの場に活用しております。
元来インプット重視の性癖(誤用でない本来の語義)を持つ私ではありますが、
それでも140字で収まらないトピックを扱いたくなる場合が
年に1・2回程度は生じてきてしまうわけです。
そうした場合に備えて、ミニブログではないブログサービスを
実に4億年ぶりくらいに利用してみる決意をいたしました。
ちなみに、HTMLタグ手打ち日記、ライブドアブログ、と
過去2度ほど武家日誌という題目で日記を発信していた経緯がございまして、
ゆえに三式となっております。
好きなイェーガーはMobile Operation Godzilla Expert Robot Aero-typeです。
MOGERAの話はたぶん次のエントリまで引っ張ります。
それからご覧のように、PC用ウェブブラウザからの閲覧を前提として
ある程度の文字数で折り返しを入れるスタイルを基本としてまいります。
段落で字下げし改行は多用しない、ユーザーフレンドリィでバリアフリィで
トゥディなアクセシビリティに配慮した文体にすべきかとも一瞬だけ悩んだものの、
スマホ等での閲覧時のスタイル崩れはこの際無視することにいたしました。
最近はバンダイデータスポットでの更新データ配信が途絶えていて哀しい限りです。
女児の手慰みですから更新頻度は低くなるものと思いますけれども、
どうぞひとつ適当によろしくお願いいたします。